クラミジアと淋菌は同時感染する?
併発率・症状・検査・治療を解説

クラミジアと淋菌は、いずれも代表的な性感染症であり、同時に感染することがあります。実際に国内の研究では、淋菌感染者の約3〜4割にクラミジアの併存が報告されています。

本記事では、クラミジアと淋菌の同時感染率を国内外の研究データをもとに解説するとともに、主な症状や検査方法、治療について詳しく紹介します。

この記事のまとめ
  • クラミジアと淋菌は同時感染があり得る。
  • 淋菌陽性者の約34~41%でクラミジアの同時感染が認められた。
  • 同時感染していても、必ずしも症状が強くなるわけではない。
  • クラミジアと淋菌はPCRなどの核酸増幅検査で同時に調べられる。
  • 同時感染した場合、それぞれに有効な抗菌薬で治療する必要がある。
目次

クラミジアと淋菌は同時感染もあり得る

クラミジアと淋菌は、いずれも性行為によって感染する代表的な性感染症です。この2つは異なる細菌による感染症ですが、感染経路が共通しているため、1人の患者がクラミジアと淋菌の両方に感染する「同時感染(重複感染)」が起こることがあります。

クラミジアと淋菌は異なる細菌による性感染症

クラミジアは「クラミジア・トラコマチス」、淋菌感染症は「淋菌(ナイセリア・ゴノレア)」という、それぞれ異なる細菌によって引き起こされます。どちらも性器、咽頭、直腸などに感染する可能性があり、排尿時の痛みや尿道分泌物、女性のおりものの異常などを引き起こします。一方で、感染していても自覚症状がない場合があります。

原因となる細菌が異なるため、クラミジアに感染したことによって淋菌に感染するわけではありません。しかし、共通した感染経路を持つことから、両方の細菌に同時に感染しているケースが認められます。

同じ性行為で両方に感染する可能性がある

クラミジアと淋菌は、膣性交、オーラルセックス、アナルセックスなどを通じて感染します。例えば、性交渉の相手がクラミジアと淋菌の両方に感染している場合、1回の性行為でも両方の細菌に感染する可能性があります。

また、同時感染は必ずしも同じ相手から、同じタイミングで感染したことを意味するわけではありません。過去に感染したクラミジアが持続している状態で、新たに淋菌に感染するケースなども考えられます。そのため、クラミジアまたは淋菌のいずれかが陽性だった場合には、もう一方の感染の有無についても確認することが重要です。

クラミジアと淋菌の同時感染率

クラミジアと淋菌の同時感染は、決して珍しいものではありません。国内外の研究では、特に淋菌感染者においてクラミジアの併存が比較的多く報告されています。ただし、同時感染率は、どちらの感染症を基準にするか、性別、年齢、調査対象となる患者集団などによって異なります。

淋菌陽性者の内、クラミジア感染を認めた研究

2023年に公表された米国の研究では、性感染症のリスクがある15〜60歳の患者のうち、クラミジアと淋菌の両方について有効な検査結果が得られた30,526人を解析しました。その結果、淋菌陽性者の26.9%でクラミジアも陽性となっていました。

一方、日本国内でも同時感染についての大規模な研究が行われています。2025年に医学誌『Open Forum Infectious Diseases』に発表された研究では、日本全国の診療報酬請求情報を用いて、2017〜2020年の15〜49歳の性感染症患者について同時感染の割合を解析しました。この研究では、淋菌感染者にクラミジアが併存する割合は、男性で33.8〜38.1%、女性で37.9〜40.8%でした。

<淋菌陽性者の内、クラミジア同時感染の率>

調査対象クラミジアの併存割合
淋菌感染者・
男性(日本)
33.8〜38.1%
淋菌感染者・
女性(日本)
37.9〜40.8%
淋菌陽性者
(米国研究)
26.9%

クラミジア陽性者の内、淋菌感染を認めた研究

同じ米国の研究では、クラミジア陽性者の9.7%で淋菌も陽性となっていました。日本国内の研究でも、クラミジア感染者に淋菌感染が併存する割合は、男性で10.7〜14.5%、女性で4.6〜6.6%と報告されています。

<クラミジア陽性者の内、淋菌同時感染の率>

調査対象淋菌の併存割合
クラミジア感染者・
男性(日本)
10.7〜14.5%
クラミジア感染者・
女性(日本)
4.6〜6.6%
クラミジア陽性者
(米国研究)
9.7%

このように、「淋菌感染者のうちクラミジアも感染している割合」と「クラミジア感染者のうち淋菌も感染している割合」は異なります。これは、もともとのクラミジアと淋菌の感染頻度が異なることなどが関係しています。したがって、クラミジアだけが陽性だった場合も、淋菌だけが陽性だった場合も、もう一方の感染を見逃さないことが大切です。

同時感染率は性別・年齢・対象集団によって異なる

クラミジアと淋菌の同時感染率は、すべての人で一定というわけではありません。

日本国内の研究では、クラミジア感染者における淋菌の併存割合は、男女とも15〜19歳で特に高く、男性で16.4〜18.5%、女性で7.4〜11.4%でした。また、調査対象が性感染症専門クリニックの受診者なのか、一般診療所の患者なのかによっても、同時感染率は変わる可能性があります。

ここで紹介した数字は、あくまで特定の集団における統計データです。1回の性行為で両方に感染する確率や、個人の同時感染リスクを直接示すものではありません。ただし、国内外の複数の研究で一定の割合の同時感染が報告されていることから、片方の感染が判明した際には、もう一方についても検査することが推奨されます。

同時感染した場合の症状

男性の症状

男性では、クラミジアや淋菌が尿道に感染すると、主に以下のような症状が現れます。

  • 排尿時の痛み: 尿道がしみる、灼熱感
  • 尿道からの分泌物: 透明〜黄色の分泌物
  • 尿道の違和感: むずむず感や軽いかゆみ
  • 尿道口の発赤・腫れ: 赤くなったり、腫れる
  • 精巣の痛み・腫れ: 陰嚢の痛みや腫れ

一般に、淋菌性尿道炎では強い排尿痛や膿性分泌物がみられやすく、クラミジア性尿道炎では比較的軽い症状にとどまる場合があります。ただし、症状の強さや分泌物の性状だけで、クラミジアと淋菌のどちらに感染しているか、あるいは同時感染しているかを判断することはできません。

女性の症状

女性では、クラミジアと淋菌は主に子宮頸管に感染します。感染していても症状が目立たないことが多いものの、以下のような症状が現れる場合があります。

  • おりもの: 量が増える、黄色っぽくなる
  • 不正出血: 生理期間以外の出血
  • 排尿時の痛み: しみるような痛みや違和感
  • 性交時の痛み: 痛みや不快感
  • 下腹部痛:下腹部の痛みや発熱

クラミジアや淋菌による感染が子宮頸管から上行すると、骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こす場合があります。PIDは卵管障害による不妊症や異所性妊娠などにつながる可能性があるため、症状が軽い場合でも適切な検査と治療が重要です。

同時感染していても無症状の場合がある

クラミジアと淋菌の両方に感染していても、自覚症状が現れない場合があります。

特に女性の子宮頸管感染や、男女の咽頭感染では、感染していても症状がほとんど現れないケースがあります。また、男性のクラミジア性尿道炎でも、症状が軽微で感染に気づかないケースがあります。そのため、排尿痛や分泌物などの症状がないからといって、クラミジアや淋菌の感染を否定することはできません。さらに、性器に症状がなくても咽頭や直腸に感染している可能性があり、感染部位によって症状の現れ方も異なります。

クラミジアと淋菌は一緒に検査できる?

クラミジアと淋菌は、1回の検体採取で両方を同時に検査することが可能です。 PCR法などの核酸増幅検査(NAAT)を用いることで、それぞれの細菌の遺伝子を検出し、感染の有無を調べることができます。ただし、クラミジアと淋菌は性器だけでなく、咽頭や直腸にも感染することがあるため、性行為の内容に応じて適切な部位を検査することが重要です。

PCRなどの核酸増幅検査で両方を調べられる

クラミジアと淋菌の検査には、主にPCR法やTMA法などの核酸増幅検査が用いられます。これらは細菌の遺伝子を検出する検査で、感度・特異度が高く、症状がない場合の感染確認にも適しています。

クラミジアと淋菌を同時に測定できる検査では、同じ検体からそれぞれの感染の有無を判定できます。例えば、男性では尿、女性では腟ぬぐい液などを採取し、クラミジアと淋菌をまとめて調べることが可能です。

また、検査方法によって結果が判明するまでの時間は異なります。一般的な外部検査機関への委託検査では数日程度かかることがありますが、院内に専用のPCR検査機器がある医療機関では、当日中に結果を確認できる場合があります。東京検査クリニック五反田院では、リアルタイムPCR検査機器「GeneXpert®︎」を導入しており、クラミジアと淋菌の感染を最短約90分で判定する迅速検査に対応しています。

性器・咽頭・直腸では検査する部位が異なる

クラミジアと淋菌は、性器・咽頭(のど)・直腸など、複数の部位に感染する可能性があります。感染している部位によって採取する検体が異なるため、性器の検査だけですべての感染を確認できるわけではありません。

感染部位主な検体関連する性行為
男性の性器尿(初尿)膣性交、オーラルセックス
女性の性器腟ぬぐい液など膣性交、オーラルセックス
咽頭(のど)うがい液などオーラルセックス
直腸直腸ぬぐい液アナルセックス

例えば、オーラルセックスによって咽頭に淋菌が感染していたとしても、尿検査ではその感染を検出できません。また、性器のクラミジアが陰性でも、咽頭ではクラミジアが陽性となる可能性があります。咽頭や直腸の感染では自覚症状がほとんどないことも多いため、症状の有無だけで検査部位を決めることは適切ではありません。

同時感染した場合の治療方法

クラミジアと淋菌に同時感染した場合は、それぞれの細菌に有効な抗菌薬を組み合わせて治療します。 両者は異なる細菌であり、推奨される治療薬も異なります。

感染症主な治療薬治療方法
クラミジアドキシサイクリン100mgを1日2回、7日間内服
アジスロマイシン1000mgを1回内服
淋菌セフトリアキソン1gを単回静脈内投与

クラミジアと淋菌の両方が陽性の場合、一般的にはセフトリアキソンによる淋菌治療と、ドキシサイクリンまたはアジスロマイシンによるクラミジア治療を併用します。

クラミジアの治療薬だけでは淋菌を十分に治療できないため、片方だけの治療で済ませないことが重要です。また、淋菌は薬剤耐性が問題となっている感染症であり、適切な抗菌薬を選択する必要があります。

東京検査クリニックの即日迅速検査

淋菌の迅速検査を可能にするGeneXpert®︎
検体は専門スタッフが丁寧に取り扱い

当院では、クラミジア・淋菌の検査に迅速PCR検査機器(GeneXpert®︎システム)を導入しています。尿や分泌物などの検体から病原体の遺伝子を検出する検査で、一般的な外注検査よりも短時間で結果を確認しやすい点が特徴です。当院の場合は、90分程度で淋菌・クラミジア(性器・咽頭)の検査結果をお伝えする事が出来ます。

GeneXpert®︎の検査精度

国内相関性試験では、既承認検査との比較でクラミジアは総一致率97.9〜98.5%、淋菌は99.1%と、高い一致率が確認されています。

<既承認品との相関性試験成績>

検査対象陽性一致率陰性一致率
クラミジア98.3〜99.4%97.4〜97.5%
淋菌98.1〜100%98.9〜99.3%

引用:GeneXpert®︎「CT/NG」- ベックマン・コール

まとめ|クラミジアと淋菌はセットでの検査が重要

クラミジアと淋菌は、同時に感染する可能性がある性感染症です。国内の研究では、淋菌感染者の約3〜4割にクラミジアの併存が報告されており、片方が陽性の場合は、もう一方の感染も確認することが重要です。また、同時感染していても自覚症状がない場合があり、症状だけで感染の有無を判断することはできません。クラミジアと淋菌はPCR検査などで同時に調べることができるため、感染が疑われる場合は適切な部位で両方の検査を受けましょう。

東京・五反田で性病検査をご希望の方は、東京検査クリニック五反田院の性病検査・診療案内をご確認ください。

記事監修:島田航 泌尿器科専門医

2018年東京科学大学(旧東京医科歯科大学)医学部を卒業後、東京科学大学、JAとりで総合医療センター、土浦協同病院、神栖済生会病院にて泌尿器科を歴任。性感染症外来・泌尿器科外来に従事。

所属学会:日本泌尿器科学会/日本生殖医学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会/日本産業衛生学会

▪️参考文献

1)Yamaguchi N, Noda T, Nishioka Y, et al. The Proportion of Coinfections Among Sexually Transmitted Infections in Japan: A Nationwide Claims Database Study. Open Forum Infectious Diseases. 2025;12(7)

2)Workowski KA, Bachmann LH, Chan PA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recommendations and Reports. 2021;70(4):1–187.

3)Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Gonococcal Infections Among Adolescents and Adults. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.

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