HIV陽性と言われたらどうする?
再検査・確定診断・受診先を解説

HIV検査で「陽性」と言われると、「本当にHIVに感染しているのか」「これからどうすればよいのか」と強い不安を感じる方も多いでしょう。しかし、最初に受けた検査がスクリーニング検査である場合、陽性という結果だけでHIV感染が確定したわけではありません。偽陽性の可能性もあるため、確認検査やHIV核酸増幅検査などによる確定診断が必要です。
この記事では、HIV陽性と言われたときに確認すべきこと、再検査・確定診断の流れ、偽陽性の可能性、受診すべき医療機関について分かりやすく解説します。
- HIVのスクリーニング検査で陽性となっても、感染が確定したわけではない。
- 陽性となった検査の種類と、確認検査まで実施されているかという2点を確認する。
- 確定診断には、HIV-1/2抗体確認検査やHIV-1核酸増幅検査(NAT)などを組み合わせる。
- 確認検査が陰性・判定保留でも、感染初期の可能性がある場合は再検査が必要。
- HIV感染が確定した場合は、エイズ治療拠点病院やHIV専門外来を早めに受診する。

HIV陽性と言われたらまず確認すること

陽性となったのは迅速検査・スクリーニング検査か確認検査か
まず、どの種類の検査で陽性になったのかを確認します。即日結果が分かる迅速検査の多くは、感染の可能性がある人を拾い上げるためのスクリーニング検査です。この段階の陽性は「HIVに反応する所見があった」という意味であり、感染確定ではありません。検査名や検査方法を結果用紙で確認しましょう。
医療機関や保健所によっても異なりますが、迅速検査は指先から採血を行い、検査キットに1滴付けて検査します。反対にスクリーニング検査では静脈採血を行い、日本国内では現在、第4世代抗原抗体検査という方法で検査をするのが一般的です。
確認検査まで実施されているか
スクリーニング検査で陽性となった後は、別の原理を用いた確認検査によってHIV感染の有無を判断します。結果を受け取った際には、確認検査まで終了しているのか、現在検査中なのか、これから追加採血が必要なのかを確認してください。スクリーニング陽性だけでは、最終的な診断を確定できません。
「陽性」「要確認」「判定保留」のどれなのか
結果用紙に記載された「陽性」が、スクリーニング検査の陽性なのか、確認検査後の確定結果なのかを確認することが重要です。「要確認」や「判定保留」は、現時点では感染の有無を判断できず、追加の確認検査や再採血が必要な状態を示すことがあります。表現の意味は施設によって異なるため、自己判断せず説明を受けましょう。
| 結果の表現 | 一般的な意味 | 次に必要な対応 |
|---|---|---|
| 陰性 | 今回の検査では感染を示す反応なし | 検査時期が早い場合は再検査 |
| 陽性・要確認 | スクリーニング検査で反応あり | 確認検査が必要 |
| 判定保留 | 現時点で確定できない | 医師の指示に従い追加検査 |
| 確認検査で陽性 | HIV感染が確定 | HIV診療を行う専門医療機関へ |
検査を受けた医療機関へ連絡する
結果の意味が分からない場合や、スクリーニング検査のみで陽性となった場合は、検査を受けた医療機関や検査施設へ早めに連絡してください。確認検査の実施状況、結果が出る時期、追加採血の必要性、専門医療機関への紹介について案内を受けます。別の簡易検査を自己判断で繰り返すのではなく、決められた手順で確認することが大切です。
HIV検査で偽陽性になる理由

迅速検査やスクリーニング検査では本当の感染がなくても陽性反応が出ることがある
HIV迅速検査で陽性反応が出ても、その結果だけでHIV感染が確定するわけではありません。迅速検査は、感染の可能性がある人を短時間で拾い上げるためのスクリーニング検査の1つです。実際には感染していなくても、検査試薬の非特異的な反応などによって陽性を示す「偽陽性」が生じることがあります。そのため、迅速検査の陽性は「感染確定」ではなく、「確認検査が必要な反応」と考えます。
検査の精度が高くても、偽陽性を完全にゼロにはできません。
例えば、仮に感度99.9%、特異度99.8%の検査を、HIV感染者の割合が0.1%の集団1万人に行ったとします。感染者は約10人で、そのほぼ全員が陽性になります。一方、感染していない9,990人のうち0.2%、約20人にも陽性反応が出る計算です。この場合、陽性になった約30人のうち、本当に感染している人は約10人となり、陽性者に占める真の陽性者は約33%です。
感度・特異度とは?
感度とは、実際にHIVへ感染している人を、検査で正しく「陽性」と判定できる割合です。例えば、HIVへ感染している100人に対して感度99%の検査を行うと、平均的には99人を陽性として見つけられますが、1人は陰性と判定される可能性があります。この見逃された結果が「偽陰性」です。感度が高い検査ほど感染者を拾い上げやすいため、最初のスクリーニング検査では、感染の可能性をできるだけ見逃さないことが重視されます。
一方、特異度とは、実際にはHIVへ感染していない人を、正しく「陰性」と判定できる割合です。例えば、感染していない1,000人に特異度99%の検査を行うと、平均的には990人が正しく陰性になりますが、残りの10人は感染していないにもかかわらず陽性になる可能性があります。これが「偽陽性」です。特異度が高いほど、感染していない人を誤って陽性とするケースが少なくなります。

たとえるなら、HIVのスクリーニング検査は、空港の保安検査で少しでも疑わしい荷物を止めるようなものです。危険物を見逃さないために広く反応する一方、安全な荷物まで止めることがあります。そこで、止められた荷物を詳しく調べる二次検査に当たるのが確認検査です。HIV検査でも、最初の検査で陽性反応が出た場合は、別の方法による検査を追加し、偽陽性を除外したうえで感染の有無を判断します。
したがって、感度や特異度が99%以上あることと、「陽性なら99%の確率で感染している」ことは同じではありません。 陽性結果が本当の感染を示す割合は、検査の感度・特異度に加えて、検査を受けた集団にHIV感染者がどの程度含まれているかによっても変わります。スクリーニング検査の陽性だけで感染を確定せず、確認検査へ進む必要があるのはこのためです。
これは「検査の精度が低い」という意味ではありません。感染していない人の数が非常に多い集団では、ごくわずかな偽陽性率であっても、偽陽性者の実数が真の陽性者を上回ることがあるためです。なお、上記は仕組みを説明するための仮定であり、特定の迅速検査キットや個人の感染確率を示す数字ではありません。迅速検査で陽性となった場合は、同じ簡易検査を自己判断で繰り返すのではなく、医療機関で確認検査へ進むことが重要です。
陽性者に占める真の陽性率は、検査を受ける集団によって異なる
検査で陽性となった人のうち、実際に感染している人の割合を「陽性的中率」といいます。陽性的中率は検査そのものの感度・特異度だけでは決まらず、検査を受ける集団にHIV感染者がどの程度含まれているかによって変化します。一般的な健康診断のように感染者が少ない集団では、陽性者に占める偽陽性の割合が相対的に高くなります。一方、HIV陽性のパートナーがいる人など、感染者の割合が高い集団では、陽性反応が真の感染を示す割合も高くなります。
先ほどと同じく、感度99.9%、特異度99.8%の検査を仮定します。感染者の割合が0.1%の集団では陽性的中率は約33%ですが、感染者の割合が1%なら約83%、10%なら約98%になります。つまり、まったく同じ検査結果であっても、どのような集団を対象に検査したかによって、陽性反応が本当の感染を示す確率は大きく変わります。性感染症検査の感度・特異度・陽性的中率の違いでは、検査結果を正しく解釈するための考え方を具体例とともに解説しています。
ただし、集団の感染者割合から、個人の感染確率をそのまま算出することはできません。実際の判断には、受けた検査の種類、感染機会からの期間、確認検査の結果などを総合する必要があります。
これが、迅速検査やスクリーニング検査の陽性だけで確定診断を行わず、確認検査を実施する大きな理由です。
症状の有無だけでは真の陽性か判断できない
HIV感染の初期には、発熱、喉の痛み、倦怠感、筋肉痛、発疹などが現れることがありますが、症状がまったく出ない人もいます。また、これらは風邪やほかの感染症でもみられるため、症状があるから真の陽性、症状がないから偽陽性とは判断できません。感染の有無は、症状ではなく所定の確認検査によって判断します。
HIVの確定診断までに行われる検査

HIV抗原・抗体検査によるスクリーニング
最初に行われるのが、血液中のHIV-1 p24抗原とHIV-1・HIV-2に対する抗体を調べるスクリーニング検査です。現在は、抗原と抗体を同時に検出する第4世代検査が一般的で、抗体だけを調べる検査よりも感染の早い段階から反応する可能性があります。
ただし、スクリーニング検査は感染者を見逃さないことを重視した検査であり、感染していない人でも非特異反応によって陽性になることがあります。そのため、結果が「陽性」または「判定保留」であっても、この時点ではHIV感染が確定したわけではありません。必ず確認検査へ進みます。
HIV検査の結果を解釈する際には、感染機会から何日経過しているかも重要です。HIV検査を受けられる時期と検査方法別のウインドウピリオドについても詳しく解説しています。
HIV-1/2抗体確認検査
スクリーニング検査で陽性または判定保留となった場合は、HIVに特有の複数の抗体が本当に存在するかを詳しく調べます。現在は、HIV-1抗体とHIV-2抗体を同時に検出し、どちらに対する反応かを判別する確認用のイムノクロマト法が用いられます。
この検査でHIV-1またはHIV-2に特徴的な抗体反応が確認されれば、感染を強く裏付ける結果となります。一方、感染直後は抗体がまだ十分に作られておらず、実際に感染していても確認検査が陰性または判定保留になることがあるため、核酸増幅検査の結果と組み合わせて判断します。
HIV核酸増幅検査(NAT)
核酸増幅検査(NAT)は、抗体ではなく、血液中に存在するHIV-1の遺伝子であるRNAを直接検出する検査です。感染してから間もない時期は、抗体がまだ確認できなくても血液中のウイルス量が多いことがあり、NATによって急性期のHIV-1感染を発見できる場合があります。
日本の診療ガイドラインでは、スクリーニング検査が陽性となった場合、HIV-1/2抗体確認検査とHIV-1 NATを組み合わせて診断することが推奨されています。ただし、NATだけで感染の有無を判断するのではなく、スクリーニング検査、抗体確認検査、感染機会からの期間、PrEP・PEPの使用状況などを含めて総合的に評価します。
確認検査が陰性・判定保留となった場合の対応
抗体確認検査が陰性または判定保留でも、直ちに「感染していない」とは判断できません。感染直後は抗体が十分に増えていないため、スクリーニング検査では抗原を捉えて陽性となる一方、抗体確認検査ではまだ反応しないことがあるからです。この場合、HIV-1 NATが陽性であれば急性HIV-1感染が強く疑われ、後日、抗体の陽性化を再検査で確認します。
NATも陰性であれば、スクリーニング検査の偽陽性である可能性があります。ただし、最近の感染機会がある場合や感染リスクを否定できない場合は、ウインドウ期を考慮し、通常は2週間後以降を目安にスクリーニング検査や確認検査を再度行います。結果が確定するまでは、自己判断で「感染している」「感染していない」と決めつけず、検査を行った医療機関の指示に従うことが重要です。
HIV感染が確定した場合の受診先

エイズ診療拠点病院・HIV専門外来を受診する
HIV感染が確認された場合は、HIV診療の経験と体制を備えたエイズ治療拠点病院やHIV専門外来を受診します。全国の受診先は、厚生労働行政推進調査事業の「エイズ治療拠点病院診療案内」から地域別に検索できます。拠点病院では、医師・看護師・薬剤師・医療ソーシャルワーカーなどが連携し、血液検査、抗HIV治療、服薬支援、医療費制度の相談などに対応します。結果を放置せず、できるだけ早く受診先を決めることが大切です。
HIV感染が確定しても、適切な抗HIV治療を早期に開始し、継続することで、免疫機能を維持しながら長期的に健康な生活を送ることが期待できます。HIV感染症の治療方法・感染経路・予後についても詳しく解説しています。
紹介状がなくても受診できるか確認する
紹介状がなくても受診できるかどうかは、医療機関によって異なります。紹介状が必要な病院や、事前予約・電話相談を求める病院もあるため、受診前に公式サイトや電話で「HIV感染が確認されていること」「確認検査の結果があること」を伝え、初診の受付方法を確認しましょう。
受診先が分からない場合は検査を受けた施設へ相談する
受診先が分からない場合は、まずHIV検査や確認検査を受けた医療機関・保健所へ相談してください。感染確定後は、適切な時期に専門医療へつなぐことが重要であり、検査施設から地域のエイズ治療拠点病院やHIV専門外来を案内してもらえる場合があります。通院を希望する地域、曜日、時間帯などを担当者へ伝えると、条件に合う医療機関を探しやすくなります。
自宅や職場から通院しやすい医療機関を選ぶ
HIV感染症は、治療開始後も定期的な診察や血液検査、薬の処方・受け取りが必要になるため、無理なく通院を続けられる医療機関を選ぶことが大切です。自宅や職場からの距離、診療曜日、予約時間、交通手段、通院にかかる時間などを確認しましょう。
HIV陽性と言われた場合によくある質問
まとめ|HIV陽性と言われたら、検査の種類を確認して専門医療機関につながりましょう
HIV陽性と言われても、スクリーニング検査が陽性だっただけでは感染が確定していない場合があります。まずは、受けた検査の種類と、確認検査まで実施されているかを確認しましょう。感染が確定した場合は、エイズ診療拠点病院やHIV専門外来を早めに受診します。
現在は、抗HIV薬を適切に続けることで、ウイルス量を抑えながら長期的に健康な生活を送ることが可能です。不安を一人で抱え込まず、検査を受けた施設や専門医療機関に相談し、必要な検査と治療につなげることが大切です。自己判断で受診や治療を中断しないようにしましょう。
東京・五反田で性病検査をご希望の方は、東京検査クリニック五反田院の性病検査・診療案内をご確認ください。
記事監修:島田航 泌尿器科専門医
2018年東京科学大学(旧東京医科歯科大学)医学部を卒業後、東京科学大学、JAとりで総合医療センター、土浦協同病院、神栖済生会病院にて泌尿器科を歴任。性感染症外来・泌尿器科外来に従事。
所属学会:日本泌尿器科学会/日本生殖医学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会/日本産業衛生学会
▪️参考文献
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3)INSIGHT START Study Group. Initiation of antiretroviral therapy in early asymptomatic HIV infection. N Engl J Med. 2015;373(9):795-807.
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