HIV即日検査は当日結果が分かる?
迅速検査の特徴と注意点を医師が解説

HIV即日検査は、採血後その日のうちに結果を確認できる迅速検査です。「不安な行為があった」「早く結果を知りたい」「症状がHIVと関係あるのか心配」という方にとって、早めに状況を確認するための選択肢になります。

ただし、HIV検査は受ける時期によって結果の解釈が変わります。性行為後すぐに検査を受けた場合、感染していても陰性と出る期間があるため、検査のタイミングや再検査の必要性を理解しておくことが大切です。

この記事では、HIV即日検査で分かること・分からないこと、検査を受ける時期、陽性だった場合の流れ、外注検査やNAT検査との違いについて解説します。早く結果を知りたい方も、まずは検査の特徴と注意点を確認しておきましょう。

目次

HIV即日検査は当日中に結果が分かる

HIV即日検査は、指先での採血後に院内で迅速検査を行い当日中に結果を確認できるHIV検査です。外部の検査機関に提出する検査と異なり、結果が出るまで数日待つ必要がないため、「早く不安を整理したい」「今日中に結果を知りたい」という方に適しています。当院では約20分で検査結果が分かる「ダイナスクリーン HIV Combo」を採用しています。

HIV即日検査は、当日中に陰性・陽性の判定を確認できるため、早めに次の行動を考えたい方に向いていますが、陽性反応が出た場合は、その結果だけで最終診断とせず、違う種類の確認検査が必要です。

即日検査は「早く結果が分かる検査」であって、感染直後から必ず分かる検査ではありません。HIV検査にはウインドウピリオドがあり、感染の可能性がある行為から日数が短すぎると、実際には感染していても陰性になることがあります。抗原抗体検査でも検体や検査方法により検出可能になる時期が異なり、指先採血の迅速抗原抗体検査では18〜90日が目安とされています。

引用:HIV testing overview – HIV gov.

当院で行うHIV即日検査|
ダイナスクリーン HIV Combo

当院では、HIV即日検査としてAbbott社が提供している「ダイナスクリーン HIV Combo」を使用しています。国内の即日HIV検査キットとして実務上もっとも代表的なキットです。ダイナスクリーン HIV Comboは、HIVに感染した際に体内で確認されるp24抗原と、感染後に作られるHIV抗体を同時に調べる第4世代の迅速検査です。

検査は、指先から少量の血液を採取する方法、または通常の採血で得られた血液検体を用いて行います。検体を採取した後、院内で検査を行うため、結果はおおむね約20分で確認できます。

ただし、HIV即日検査はあくまでスクリーニング検査です。陰性であれば、検査時点で確認できる範囲ではHIV感染の可能性が低いと考えられますが、感染の機会から検査までの期間が短い場合は、後日の再検査が必要になることがあります。

また、即日検査で陽性反応が出た場合も、その時点でHIV感染が確定するわけではありません。偽陽性の可能性もあるため、確認検査を行い、最終的な判断を行います。

項目内容
検査名ダイナスクリーン HIV Combo
検査方法p24抗原・HIV抗体を同時に確認
採血方法指先採血または血液検体
結果確認約20分
検査の位置づけHIV感染の可能性を確認するスクリーニング検査
通常検査との違い通常検査は感染初期の検出感度がより高い場合がある

HIV感染が不安な場合、早く結果を知ることは安心につながります。一方で、検査時期が早すぎると正確に判断できないことがあるため、結果だけでなく「いつの性行為まで確認できた検査なのか」を理解しておくことが大切です。

HIV迅速検査の精度

相関性試験では、対象検査に対し陽性一致率・陰性一致率が100%であったと報告されています。この陽性一致率は、「比較対象の検査で陽性だった検体のうち、ダイナスクリーンでも陽性になった割合」です。陰性一致率は、比較対象で陰性だった検体のうち、本品でも陰性だった割合です。したがって、厳密には「感度100%・特異度100%」と同義ではなく、既存検査との一致率が100%だったという意味です。

化学発光免疫測定法(CLIA/CMIA系)は、HIVの第4世代スクリーニング検査として非常に信頼性の高い検査法です。 大型自動分析装置を用いて、HIV-1 p24抗原とHIV-1/2抗体を検出します。患者検体中の抗原・抗体が試薬と反応すると、その量に応じて発光シグナルが生じ、装置がその光を測定して陽性・陰性を判定します。

<相関性試験成績>

対象試験陽性一致率陰性一致率全体一致率
対照品A(イムノクロマト法)100%100%100%
対照品B(化学発光免疫測定法)100%100%100%

引用:ダイナスクリーン HIV Combo 電子添文

ダイナスクリーン™ HIV Comboは、検査室で用いられる第4世代の化学発光免疫測定法との比較試験で、陽性一致率・陰性一致率ともに100%を示しています。一方、感染直後など抗原・抗体量がごく少ない時期では、検査法による検出性能の差が生じる可能性があるため、感染機会からの期間を考慮して検査することが重要です。

感染初期の検出感度がより高いとは?

HIV感染初期は、体内のウイルス量やp24抗原がまだ少なく、検査で拾いにくい時期があります。検出感度が高い検査とは、たとえるなら「小さな音まで拾える高性能マイク」のようなものです。感染して間もない段階のわずかな反応も捉えやすいため、早い時期の感染を見つけやすくなります。ただし、どの検査でも早すぎる時期は陰性になることがあり、再検査が必要です。

HIV即日検査で分かること・注意点

HIV感染の可能性をその日のうちに確認可能

HIV即日検査では、指先から採血した血液を用いて、HIV感染の可能性を院内で確認します。当院で使用するダイナスクリーン HIV Comboは、p24抗原とHIV抗体を同時に調べる第4世代の迅速検査です。検査判明時間は20分程度です。

p24抗原とは

p24抗原とは、HIVを構成するたんぱく質の一つです。HIVに感染すると、抗体が作られる前の比較的早い時期に血液中で検出されることがあります。そのため、第4世代のHIV検査では、HIV抗体だけでなくp24抗原も同時に調べることで、感染初期のHIVをより見つけやすくしています。

HIV抗体とは

HIV抗体とは、HIVが体内に入ったあと、免疫がウイルスに反応して作るたんぱく質です。感染直後からすぐに出るわけではなく、一定期間たってから血液中で検出されるようになります。そのため、HIV抗体検査は感染から時間が経過した後の確認に有用です。

陰性でも検査時期が早すぎると判断できない

HIV検査は、感染の機会からどのくらい時間が経過しているかによって、結果の意味が変わります。感染して間もない時期は、体内のp24抗原やHIV抗体がまだ十分に増えておらず、感染していても陰性と出ることがあります。そのため、早い時期の陰性は「現時点で検出されなかった」という結果であり、必要に応じて再検査が必要です。

陽性の場合は確認検査が必要

HIV即日検査で陽性反応が出た場合でも、その時点でHIV感染が確定するわけではありません。迅速検査はスクリーニング検査のため、まれに偽陽性が起こることがあります。陽性時は、外注検査や確認検査を行い、最終的にHIV感染の有無を判断します。不安が強い場合でも、結果だけで自己判断せず、確認検査まで進めることが大切です。

外注検査の方が感染初期の検出感度に優れる場合がある

ダイナスクリーン HIV Comboは第4世代の迅速検査であり、p24抗原とHIV抗体を同時に確認できます。一方で、外注検査で用いられる自動測定装置による抗原抗体検査は、感染初期のわずかな反応をより拾いやすい場合があります。早期感染が強く疑われる場合や、検査時期が早い場合は、外注検査やNAT検査を検討します。

以下の記事でHIVの検査方法の種類についても解説しています。

また、即日検査で陽性になっても、その時点でHIV感染が確定するわけではありません。スクリーニング検査の陽性には、実際に感染している「真の陽性」と、感染していないのに反応が出る「偽陽性」が含まれるためです。厚生労働省の情報では、迅速スクリーニング検査で陽性となった場合、真の陽性は約23%とされており、陽性時は必ず確認検査が必要です。

引用:HIV検査相談マップ – 厚生労働省

陰性の結果は確実に感染していないに近い

HIV迅速検査は感度が非常に高くなるように設計されています。感度が高いとは見逃しが少ないことを意味しており、迅速検査で陰性はほぼ確実に感染していないことを意味しています。ただし、不安な行為から日が浅い場合は、体内のp24抗原やHIV抗体がまだ十分に増えておらず、感染していても陰性になることがあります。つまり、陰性結果は「検査で確認できる時期までの感染可能性が低い」という結果であり、早すぎる検査では再検査が必要です。

HIV即日検査で陽性だった場合の流れ

迅速検査の陽性だけで確定診断とはならない

HIV即日検査で陽性反応が出た場合でも、その結果だけでHIV感染が確定するわけではありません。即日検査はスクリーニング検査であり、感染の可能性がある方を拾い上げるための検査です。まれに、実際には感染していないのに陽性反応が出る「偽陽性」もあります。そのため、陽性時は必ず確認検査へ進みます。

HIV検査・診断のフローは以下の通りになります。

スクリーニング検査

抗原抗体検査:陽性

確認検査

核酸増幅検査(NAT/PCR法):陰性→抗原抗体検査で偽陽性で感染は否定
核酸増幅検査(NAT/PCR法):陽性→HIV感染(確定診断)

専門医療機関で治療・フォロー開始

HIV診療には専門的な施設での治療・経過観察が必要となります

確認検査でHIV感染の有無を詳しく調べる

即日検査で陽性または判定保留となった場合は、確認検査でHIV感染の有無を詳しく調べます。確認検査では、「HIV抗体検査」「HIV遺伝子の拡散増幅検査」を行います。スクリーニング検査の結果だけで自己判断せず、確認検査まで受けることが大切です。

HIV検査における「スクリーニング」と「確認検査」はよく空港の金属探知機ゲートに例えられます。強力な金属探知機ゲートを通過出来た荷物はさすがに金属は入っていない(セーフ)とします。その強力すぎる金属探知機ゲートで引っかかった荷物にはクリップやマグネットなど本当は悪者ではない金属も含まれています。スクリーニング陽性後のHIV確認検査は「荷物の中に本当に金属バットや拳銃が入っていないか?」を確認する検査です。強力な金属探知機ゲートを用意している以上、クリップやマグネットなどの安全な荷物まで一旦は陽性としてしまうのがHIV検査の考え方です。そしてこの強力な金属探知機ゲートをもクリアした荷物にはほぼ確実に金属と呼べるものは入っていないと胸を張って言えることになります。

必要に応じて専門医療機関へつなぎます

確認検査の結果、HIV感染が疑われる場合や感染が確認された場合は、必要に応じてHIV診療に対応した専門医療機関へ紹介します。HIVは現在、早期に治療を始めて継続することで、ウイルス量を抑えながら生活できる病気です。陽性反応が出ても一人で抱え込まず、次の検査と治療につなげることが重要です。

NAT検査・抗原抗体検査・抗体検査の違い

HIV検査には、主にNAT検査・抗原抗体検査・抗体検査があります。それぞれ調べているものが異なるため、感染の可能性がある機会から何日後に検査で分かるかも異なります。

検査の種類調べるもの確定診断に必要か
NAT検査HIVの遺伝子・RNA○
抗原抗体検査(静脈)p24抗原+HIV抗体×
抗原抗体検査(迅速)p24抗原+HIV抗体×
抗体検査HIV抗体○

NAT検査はHIVの遺伝子を調べる検査で、感染初期を見つけやすい一方、医療コストは高めです。抗原抗体検査はp24抗原とHIV抗体を同時に調べる検査で、主にスクリーニングとして用いられます。抗体検査はHIVに対する抗体を調べる検査で、確認検査に使われることがあります。HIVの診断では、スクリーニング陽性だけで確定せず、抗体確認検査やNAT検査を組み合わせて判断します。費用面では、一般に抗体検査・抗原抗体検査の方が実施しやすく、NAT検査は精密ですが高コストです。

HIV即日検査を受けた方がよいケース

  • コンドームなしの性行為があった
  • 相手の感染状況が分からない
  • 梅毒など他の性感染症も一緒に確認したい
  • 定期的にHIV・性感染症をチェックしたい
  • 発熱・のどの痛み・発疹などがあり不安

HIV感染初期には、発熱・のどの痛み・発疹・だるさなど、風邪に似た症状が出ることがあります。ただし症状だけでHIVかどうかは判断できません。性行為後に体調変化があり不安な場合は、検査で確認しましょう。

HIV即日検査の流れ

検討すべき検査

  • HIV迅速検査(20分)

当院では、HIV感染が心配な方に対して、通常のHIV検査と、迅速検査キットを用いて20分で結果を確認できるHIV迅速検査の2種類をご用意しています。感染機会からの経過期間や検査を受ける目的、ご希望の結果確認までの時間などを確認したうえで、適した検査方法をご案内します。通常のHIV検査は採血後に検査機関で測定し、結果はWebから確認できます。

東京検査クリニック五反田院は、五反田駅から徒歩2分の場所にあり、平日は21時まで診療しています。仕事や学校の後など、日中に受診しにくい方でも検査を受けやすい体制を整えています。HIV検査は自費診療のため、保険証やマイナンバーカードの提示は必要なく、匿名で受検することも可能です。

HIVの検査料金・プラン

検査料金・プラン
HIV検査4,200 円
HIV検査【迅速】7,500 円
スタンダードチェック21,800 円

当院は自由診療のクリニックであり、保険証の提示が不要で匿名での検査が可能です。また、診察料(初診料・再診料)は無料ですので、相談だけでもまずはご相談ください。

HIV即日検査は高い陰性的中率が示されており、検査時間20分でその場でその場で結果をお伝えいたします。症状や行為の内容を相談の上、検査のご案内をさせて頂きます。

HIV即日検査に関するよくある質問

HIV即日検査とは何ですか?

HIV即日検査とは、採血後に短時間で結果を確認できるHIV検査です。多くは迅速検査キットを用いて行い、当日中に結果が分かるため、不安を早く確認したい方に適しています。

HIV即日検査はいつから受けられますか?

HIV即日検査は受けること自体は性行為後早い時期でも可能ですが、早すぎると正確に判定できないことがあります。感染機会から一定期間を空けて受けることが大切です。

HIV即日検査で陰性なら安心できますか?

適切な時期に受けたHIV即日検査で陰性であれば、その感染機会によるHIV感染はほぼ否定的と考えられます。

HIV即日検査で陽性だった場合はどうなりますか?

HIV即日検査で陽性が出た場合でも、その時点でHIV感染が確定するわけではありません。スクリーニング検査で陽性となった場合は、NAT検査などの確認検査で確定診断を行います。

HIV即日検査と外注検査の違いは何ですか?

HIV即日検査は当日中に結果が分かることが大きなメリットです。一方で、外注検査は結果までに時間がかかるものの、一般的により高い感度で確認できる検査です。

HIV以外の性感染症も一緒に検査できますか?

HIVだけでなく、梅毒・クラミジア・淋菌・B型肝炎・C型肝炎などを一緒に確認できる場合があります。不安な行為や症状に応じて、必要な検査を組み合わせることが大切です。

症状がなくてもHIV検査を受けた方がいいですか?

HIVは感染してもすぐに症状が出ないことがあります。また、初期症状があっても風邪などと見分けがつきません。コンドームなしの性行為や相手の感染状況が分からない場合は、症状がなくても検査をおすすめします。

まとめ|HIV即日検査は当日結果が分かります

HIV即日検査は、採血後およそ20分で結果を確認できる検査です。当日中に結果が分かるため、不安な時間をできるだけ短くしたい方や、早めに検査結果を確認したい方に適しています。ただし、感染から間もない時期は陰性でも感染を否定できないことがあります。感染機会からの経過期間を確認し、必要に応じて適切な時期に再検査を受けることが重要です。

東京・五反田で性病検査をご希望の方は、東京検査クリニック五反田院の性病検査・診療案内をご確認ください。

記事監修:島田航 泌尿器科専門医

2018年東京科学大学(旧東京医科歯科大学)医学部を卒業後、東京科学大学、JAとりで総合医療センター、土浦協同病院、神栖済生会病院にて泌尿器科を歴任。性感染症外来・泌尿器科外来に従事。

所属学会:日本泌尿器科学会/日本生殖医学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会/日本産業衛生学会

▪️参考文献

1)Branson BM, Owen SM, Wesolowski LG, et al. Laboratory Testing for the Diagnosis of HIV Infection: Updated Recommendations. Centers for Disease Control and Prevention and Association of Public Health Laboratories; 2014.

2)Nasrullah M, Wesolowski LG, Meyer WA 3rd, et al. Performance of a Fourth-Generation HIV Screening Assay and an Alternative HIV Diagnostic Testing Algorithm. AIDS. 2013;27(5):731-737.

3)Meier T, Knöll E, Henkes M, et al. Evidence for a Diagnostic Window in Fourth Generation Assays for HIV. Journal of Clinical Virology. 2001;23(1-2):113-116.

4)Guiraud V, Taieb F, Muller-Trutwin M, et al. Fourth-Generation HIV Rapid Tests: Enhanced Sensitivity and Shorter Diagnostic Window Compared with Third-Generation Rapid Tests. Journal of Medical Virology. 2024.

5)Guiraud V, Neveux M, Taieb F, et al. Fourth-Generation HIV Rapid Diagnostic Test: Adequate Sensitivity in HIV Primary Infection Settings? Journal of Clinical Virology. 2025.

目次