アナルセックスで性病はうつる?
感染する性病・症状・検査方法を解説

アナルセックスでは、クラミジアや淋菌、梅毒、HIV、性器ヘルペスなど、さまざまな性感染症に感染する可能性があります。特に肛門や直腸の粘膜は傷つきやすく、受け側・挿入側のどちらにも感染リスクがあります。

この記事では、アナルセックスでうつる性病の種類や感染リスク、主な症状、適切な検査方法・検査時期について詳しく解説します。

この記事のまとめ
  • アナルセックスでは、受け側・挿入側の両方に性病の感染リスクがある。
  • 主な性病は、クラミジア・淋菌・梅毒・HIV・B型肝炎・性器ヘルペス・HPV。
  • HIVの感染リスクは受け側の方が高く、コンドームなしではさらにリスクが高まる。
  • 肛門の痛み・かゆみ・出血・分泌物などが現れるが、無症状の場合も多い。
目次

アナルセックスで性病はうつるのか

アナルセックス(肛門性交)では、クラミジアや淋菌、梅毒、HIV、性器ヘルペスなど、さまざまな性感染症に感染する可能性があります。腟性交と同様に、コンドームを使用しない場合は感染リスクが高まりますが、コンドームを使用していても、皮膚や粘膜の接触によって感染する性病を完全に防ぐことはできません。

受け側・挿入側の両方に感染リスクがある

アナルセックスでは、受け側(肛門に挿入される側)と挿入側(陰茎を挿入する側)のどちらにも性感染症の感染リスクがあります。

受け側は、感染者の精液や分泌液が直腸粘膜に接触することで、直腸クラミジアや直腸淋菌、HIVなどに感染する可能性があります。一方、挿入側も、感染者の直腸粘膜や分泌物との接触によって、尿道クラミジアや淋菌などに感染することがあります。

特にHIVは、コンドームや予防薬を使用しない場合、受け側の方が挿入側よりも感染リスクが高いことが知られています。

肛門や直腸の粘膜は傷つきやすい

肛門や直腸の粘膜は摩擦によって傷つきやすく、アナルセックスでは目に見えない小さな傷が生じることがあります。こうした粘膜の損傷は、HIVなどの病原体が体内に侵入するリスクを高める要因となります。また、直腸にクラミジアや淋菌などの感染がある場合、粘膜の炎症が生じることもあります。

ただし、粘膜に目立った傷や出血がなくても性感染症に感染する可能性があるため、痛みや出血がなかったことだけで感染リスクが低いとは判断できません。

アナルセックスでうつる可能性がある性病

アナルセックスでは、クラミジアや淋菌、梅毒、HIVなど、さまざまな性感染症に感染する可能性があります。直腸の粘膜への感染だけでなく、皮膚や粘膜の直接接触、血液・体液を介して感染するものもあります。

性病主な症状無症状の可能性
クラミジア(直腸)肛門の違和感、痛み、分泌物、出血高い
淋菌(直腸)肛門痛、かゆみ、膿、出血高い
梅毒肛門周囲のしこり、潰瘍、発疹あり
HIV発熱、倦怠感、リンパ節の腫れあり
B型肝炎倦怠感、食欲不振、黄疸あり
性器ヘルペス肛門周囲の水疱、痛み、潰瘍あり
HPV(尖圭コンジローマ)肛門周囲のいぼあり

クラミジア(直腸クラミジア)

直腸クラミジアは、アナルセックスなどによってクラミジアが直腸の粘膜に感染する性感染症です。感染しても無症状のことが多いですが、肛門の痛みや違和感、分泌物、出血などが現れる場合があります。尿検査だけでは直腸への感染を確認できないため、肛門から検体を採取するPCR検査などが必要です。

クラミジアの感染経路や症状については、クラミジアの検査・治療方法で詳しく解説しています。

淋菌(直腸淋菌)

直腸淋菌は、淋菌が肛門や直腸の粘膜に感染することで起こります。無症状のことも多いですが、肛門の痛みやかゆみ、膿のような分泌物、排便時の痛み、出血などが生じる場合があります。直腸クラミジアと症状が似ているため、両方の感染を確認することが重要です。

また、淋菌は直腸だけでなく尿道や咽頭にも感染します。淋菌による症状については、排尿時の痛みと性感染症でも解説しています。

梅毒

梅毒は、感染者の皮膚や粘膜にある感染性の病変と直接接触することで感染します。アナルセックスによって肛門や直腸に感染すると、初期には痛みの少ないしこりや潰瘍が現れることがあります。直腸内に病変ができた場合は気づきにくく、症状が自然に消えることもあるため注意が必要です。

梅毒の症状は感染時期によって異なります。詳しくは梅毒の初期症状と感染経過をご確認ください。

HIV

HIVは、感染者の精液や血液などが直腸の粘膜や傷ついた組織に接触することで感染する可能性があります。アナルセックスはHIV感染リスクが比較的高い性行為であり、特に受け側でリスクが高くなります。

感染初期には発熱や倦怠感、リンパ節の腫れなどが現れることがありますが、無症状の場合もあります。また、感染直後は検査で検出できない期間があるため、適切なタイミングで検査を受けることが重要です。なお、HIV陽性者が治療によってウイルス量を継続的に検出限界未満に抑えている場合、性行為によるHIV感染は起こりません(U=U)。

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した人の血液や精液などを介して感染します。アナルセックスでは直腸の粘膜が傷つくことがあり、感染リスクがあります。

感染しても無症状のことがありますが、急性肝炎を発症すると、倦怠感や食欲不振、吐き気、黄疸などが現れる場合があります。B型肝炎はワクチンによって予防できる性感染症の一つです。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1・HSV-2)が皮膚や粘膜に接触することで感染します。アナルセックスによって肛門周囲や直腸に感染すると、水疱や潰瘍、ヒリヒリとした痛みなどが現れます。

また、症状がない時期でもウイルスが排出されることがあり、目に見える病変がなくても感染する可能性があります。ヘルペスによる症状については、男性の性器ヘルペスの症状で詳しく解説しています。

HPV(尖圭コンジローマ)

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、感染した皮膚や粘膜との直接接触によって感染します。アナルセックスなどを通じて肛門周囲や肛門管内に感染すると、尖圭コンジローマと呼ばれるいぼができることがあります。ただし、HPVに感染しても必ずいぼができるわけではなく、無症状のまま経過する場合もあります。また、一部の高リスク型HPVは肛門がんの発症にも関係しています。

アナルセックスによる性病の感染リスク

アナルセックスによる性感染症のリスクは、受け側・挿入側の違いやコンドームの使用状況、相手の感染状態などによって異なります。特に、直腸の粘膜は傷つきやすいため、HIVをはじめとする性感染症に注意が必要です。

HIVは受け側の感染リスクが高い

アナルセックスでは、挿入側・受け側のどちらにもHIV感染の可能性がありますが、特に受け側の感染リスクが高いことが知られています。米国CDCによると、HIV陽性でウイルス量が抑制されていない相手とのコンドームを使用しないアナルセックス1回あたりの推定感染リスクは、以下のとおりです。

立場HIV感染リスク(1回あたり)
受け側約1.38%
挿入側約0.11%

受け側の感染リスクが高い理由は、直腸の粘膜が薄く、摩擦によって微細な傷ができやすいためです。一方、挿入側も尿道口や陰茎の粘膜などから感染する可能性があります。

コンドームなし・中出しで感染リスクは高まる?

コンドームを使用しないアナルセックスでは、HIVやクラミジア、淋菌などの性感染症に感染するリスクが高まります。

コンドームを使用しない場合、精液や分泌液が直腸・尿道の粘膜に直接触れるため、病原体が侵入しやすくなります。また、直腸内への射精(中出し)によって精液に直接さらされることも、HIVなどの感染を考えるうえで重要な要素です。ただし、中出しによって感染確率が何倍になるかについては、明確な数値は確立されていません。

一方、射精しなかった場合や途中で抜いた場合でも、感染リスクがなくなるわけではありません。梅毒や性器ヘルペス、HPVなどは、感染した皮膚や粘膜との接触によって感染する可能性があります。

1回だけでも性病に感染する可能性がある

アナルセックスによる性感染症は、たった1回の性行為でも感染する可能性があります。

特に、クラミジアや淋菌は感染しても症状が現れないことがあり、相手が無症状だからといって感染していないとは限りません。また、HIVの感染リスクは相手のウイルス量や予防対策によって大きく異なり、1回の性行為でも感染する場合があります。

アナルセックスで性病に感染したときの症状

アナルセックスによって性感染症に感染すると、肛門周囲の痛みやかゆみ、出血、分泌物などの症状が現れることがあります。また、挿入側では排尿時の痛みや尿道からの膿、肛門周囲では水ぶくれやイボなどがみられる場合もあります。

ただし、直腸クラミジアや直腸淋菌は無症状のことも多く、症状がないからといって感染していないとは限りません。

主な症状考えられる性感染症特徴
痛み・違和感直腸クラミジア・淋菌、性器ヘルペス排便時の痛みや肛門の違和感
かゆみ直腸クラミジア・淋菌、コンジローマなど肛門周囲のかゆみや刺激感
肛門からの出血・分泌物直腸クラミジア・淋菌粘液や膿、血液が混じることがある
周囲の水ぶくれ性器ヘルペス痛みを伴う小さな水疱やただれ
周囲の潰瘍梅毒、性器ヘルペスしこりや皮膚・粘膜のただれ
周囲のイボHPV(尖圭コンジローマ)小さなイボが増えることがある

肛門の痛み・かゆみ・出血・分泌物

アナルセックス後に肛門の痛みや違和感、かゆみ、出血、分泌物などが現れた場合、直腸クラミジアや直腸淋菌などの性感染症が原因となっている可能性があります。

これらの細菌が直腸の粘膜に感染すると、直腸炎を引き起こし、排便時の痛みや粘液・膿の排出、出血などがみられることがあります。ただし、アナルセックス後の肛門の痛みや出血は、摩擦による傷や切れ痔、痔核など、性感染症以外が原因の場合もあります。

肛門周囲の水ぶくれ・潰瘍・イボ

アナルセックス後に肛門周囲の水ぶくれや潰瘍、イボなどが現れた場合、性器ヘルペスや梅毒、HPV(尖圭コンジローマ)などの性感染症が考えられます。

性器ヘルペスでは、肛門周囲に痛みを伴う小さな水ぶくれやただれが現れることがあります。梅毒では、感染初期に痛みの少ないしこりや潰瘍ができる場合があります。一方、尖圭コンジローマでは、肛門周囲や肛門管内に小さなイボが生じ、徐々に数が増えたり大きくなったりすることがあります。

アナルセックスに関連する検査項目と料金

検討すべき検査

  • 淋菌/クラミジア通常検査(3日程度)
  • 淋菌/クラミジア迅速検査(90分)
  • 梅毒・HIV・B型肝炎検査
  • 性器ヘルペス診察

アナルセックスでは、クラミジアや淋菌、梅毒、HIV、B型肝炎、性器ヘルペス、HPV(ヒトパピローマウイルス)などの性感染症がうつる可能性があります。特に、肛門や直腸の粘膜は傷つきやすく、受け側・挿入側のどちらにも感染リスクがあります。

当院では、接触した部位や感染機会、症状の経過を確認したうえで、クラミジア・淋菌のPCR検査、梅毒・HIVの血液検査、性器ヘルペスの検査など、状況に応じた性感染症検査をご案内しています。

アナルセックスの後に性感染症が心配な場合は、感染が疑われる病原体や部位に応じた検査が重要です。特に、直腸クラミジア・直腸淋菌は尿検査だけでは確認できず、肛門ぬぐい液による検査が必要です。当院では、肛門のクラミジア・淋菌について、約90分で結果が判明する迅速PCR検査に対応しています。性感染症の即日迅速検査の種類・検査方法・結果判明時間についても詳しくご案内しています。

アナルセックスに関する検査料金・プラン

検査料金・プラン
性器ヘルペス4,200 円
梅毒4,200 円
HIV4,200 円
B型肝炎4,200 円
淋菌・クラミジアチェック
(肛門)
7,400 円
淋菌・クラミジアチェック
(肛門)【迅速】
14,000 円
スタンダードチェック21,800 円

当院は自由診療のクリニックであり、保険証の提示が不要で匿名での検査が可能です。また、診察料(初診料・再診料)は無料ですので、相談だけでもまずはご相談ください。

アナルセックスでは、受け側・挿入側のどちらにも性感染症の感染リスクがあり、症状がなくても感染している可能性があります。東京検査クリニック五反田院では、プライバシーに配慮しながら、性行為の内容や感染機会からの経過、症状や不安に合わせて必要な検査項目をご案内しています。

アナルセックスと性病によくある質問

アナルセックスは1回だけでも性病に感染しますか?

はい、アナルセックスは1回だけでも性感染症に感染する可能性があります。クラミジアや淋菌、梅毒、HIV、性器ヘルペスなどが主な感染症です。

アナルセックスで中出ししなければ性病はうつりませんか?

いいえ、射精しなくても性感染症に感染する可能性があります。クラミジアや淋菌は感染した分泌物との接触、梅毒や性器ヘルペス、HPVは皮膚や粘膜との接触によって感染することがあります。

アナルセックスでコンドームを使えば性病を予防できますか?

コンドームを正しく使用することで、HIVやクラミジア、淋菌などの感染リスクを下げられます。ただし、梅毒や性器ヘルペス、HPVなどはコンドームで覆われていない皮膚や粘膜から感染する可能性があります。

アナルセックス後に症状がなくても性病検査は必要ですか?

アナルセックス後に症状がなくても、性感染症に感染している可能性があります。特に直腸クラミジアや直腸淋菌は無症状のことも多いため、感染が心配な場合は検査を検討しましょう。

アナルセックス後、性病検査はいつから受けられますか?

検査を受ける適切な時期は性感染症の種類によって異なります。クラミジア・淋菌のPCR検査は感染機会から約1週間後が一つの目安です。詳しくは、性感染症の適切な検査時期を参考にください。

まとめ|アナルセックスは受け側・挿入側の両方に性病リスクがある

アナルセックスでは、受け側・挿入側のどちらにもクラミジア、淋菌、梅毒、HIV、性器ヘルペスなどの性感染症に感染するリスクがあります。特にHIVは受け側の感染リスクが高く、コンドームを使用しない場合は注意が必要です。また、直腸クラミジアや直腸淋菌は無症状のことも多く、症状だけで感染の有無を判断できません。

東京・五反田で性病検査をご希望の方は、東京検査クリニック五反田院の性病検査・診療案内をご確認ください。

記事監修:島田航 泌尿器科専門医

2018年東京科学大学(旧東京医科歯科大学)医学部を卒業後、東京科学大学、JAとりで総合医療センター、土浦協同病院、神栖済生会病院にて泌尿器科を歴任。性感染症外来・泌尿器科外来に従事。

所属学会:日本泌尿器科学会/日本生殖医学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会/日本産業衛生学会

▪️ 参考文献

1)Patel P, Borkowf CB, Brooks JT, et al. Estimating per-act HIV transmission risk: a systematic review. AIDS. 2014;28(10):1509-1519.

2)Jin F, Jansson J, Law M, et al. Per-contact probability of HIV transmission in homosexual men in Sydney in the era of HAART. AIDS. 2010;24(6):907-913.

3)Dewart CM, Bernstein KT, DeGroote NP, et al. Prevalence of rectal chlamydial and gonococcal infections: a systematic review. Sex Transm Dis. 2018;45(5):287-293.

4)Workowski KA, Bachmann LH, Chan PA, et al. Sexually transmitted infections treatment guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1-187.

目次